
がんは、現代の日本人にとって最も身近で重大な病気の一つです。最新の研究によると、男性の2人に1人、女性の3人に1人が一生のうちに一度はがんと診断されると言われています【1】。がん予防のため食事 運動などの効果を解説してきましたが、がんを「完全に防ぐ」ことは現実的に難しく、むしろ重要なのは「いかに早く見つけ、治療を始められるか」にあります。
がんは、初期の段階ではほとんど自覚症状がなく進行することが多いため、定期的な検診や画像診断が有効とされています。たとえば、大腸がんに関しては便潜血検査を毎年受けることで死亡率を33%も下げられるという報告があります【2】。これは、がんが進行する前に小さな異常を見つけることができれば、治療も比較的軽く済み、生活の質を保ちながら治療ができるからです。
また、早期に発見されたがんは、進行がんに比べて治療効果が高く、多くは治療後の生活も治療前と比較して大きく変わりません。
乳がんでは、マンモグラフィ検査による早期発見が、40歳以上の女性の死亡率を大きく低下させているというデータがあります【3】。
このように、がんの「予防」だけでなく、「早期発見」は健康寿命を延ばす重要な鍵になるのです。
多くの人が「痛みや症状が出てから病院に行く」ことを習慣にしていますが、それでは間に合わないケースがほとんどです。がんは静かに進行する病気だからこそ、無症状のうちに行う定期検診が極めて大切です。40歳を過ぎたら、自分の身体に投資する意味でも、年に一度はがん検診を受けることをおすすめします。
特に受けていただきたいがん検診に関して別途詳しく解説する予定です
全てのがんを避けることはできませんが、早期に気づければ「怖い病気」ではなくなりつつあります。あなたの健康寿命を守るために、今できる一歩を踏み出しましょう。
引用文献:
- Sung H, Ferlay J, Siegel RL, et al. Global Cancer Statistics 2020: GLOBOCAN estimates of incidence and mortality worldwide for 36 cancers in 185 countries. CA Cancer J Clin. 2021;71(3):209-249. doi:10.3322/caac.21660
https://acsjournals.onlinelibrary.wiley.com/doi/10.3322/caac.21660 - Hewitson P, Glasziou P, Watson E, Towler B, Irwig L. Cochrane systematic review of colorectal cancer screening using the fecal occult blood test (FOBT). BMJ. 2007;335(7618):1186-1190. doi:10.1136/bmj.39361.415000.BE
https://journals.lww.com/ajg/abstract/2008/06000/cochrane_systematic_review_of_colorectal_cancer.39.aspx - Myers ER, Moorman P, Gierisch JM, et al. Benefits and Harms of Breast Cancer Screening: A Systematic Review. JAMA. 2015;314(15):1615-1634. doi:10.1001/jama.2015.13183
https://jamanetwork.com/journals/jama/fullarticle/2451986