最近、日常診療をしていて特に感じることは20年程前と比べても体重を減らす必要がある人が明らかに増えているということです。
ほとんどの人は診察室で医者から「体重を減らしてください」と言われても実際どうしたらいいかわからないというのが現状と思います。
ダイエットを始めるとき、真っ先に食事制限や運動を考える方は多いと思います。
しかし、本当に効果的な減量を行うために一番大切なことは、「普段自分が何を食べているのか」を正しく知ることがスタート地点です。
なかでも注目したいのが「食物繊維」です。食物繊維とは、野菜、豆類、海藻、全粒穀物などに多く含まれる成分で、消化されずに腸まで届く特徴があります。これが実は、体重管理にとても役立つのです。
まず、食物繊維を多く含む食事は自然と満腹感を与えてくれます。噛む回数が増え、ゆっくりと食事が進むため、食べ過ぎを防ぐ効果が期待できます。また、腸内環境を整えることで、脂肪の吸収を抑えたり、代謝を促したりといった作用も報告されています。
実際に、2020年に発表された大規模な人口を対象にした研究では、食物繊維の摂取量が多い人ほど、体重や体脂肪率が低く、腹囲も小さい傾向があることが示されました(1)。また、別の研究では、食物繊維を多く含む食事をすることで、長期的に体重増加を抑えることができることが分かっています(2)。
さらに、肥満や生活習慣病の予防にもつながる可能性があり、心臓病や糖尿病のリスク低下との関連も指摘されています(3)。これらのことから、減量だけでなく、健康的な体作りにも欠かせない成分といえます。
コンビニの惣菜や白米中心の食生活ではなかなか達成できませんが、サラダや味噌汁に豆や海藻を加えたり、白米を雑穀米に変えたりといったちょっとした工夫で無理なく取り入れられます。
ダイエットの第一歩は、今の自分の食事を「見直すこと」。中でも食物繊維を意識することで、体重減少だけでなく健康的な生活への近道になるのです。
食べ物のことをよく理解することは単なる減量だけでなく、がん予防 糖尿病予防 心臓病・腎臓病の予防など多くの病気を予防および治療する上で非常に重要です。
以後は複数回にわたり食べ物に対する必要な知識をお伝えする予定です
参考文献
1) Reynolds A, Mann J, Cummings J, Winter N, Mete E, Te Morenga L. Carbohydrate quality and human health: a series of systematic reviews and meta-analyses. The Lancet. 2019;393(10170):434-445.
https://doi.org/10.1016/S0140-6736(18)31809-9
2) Slavin JL. Dietary fiber and body weight. Nutrition. 2005;21(3):411-418.
https://doi.org/10.1016/j.nut.2004.08.018
3) Threapleton DE, Greenwood DC, Evans CE, et al. Dietary fibre intake and risk of cardiovascular disease: systematic review and meta-analysis. BMJ. 2013;347:f6879.
https://doi.org/10.1136/bmj.f6879
