米国がん協会がん予防ガイドラインに学ぶ・がん予防と再発防止の実践法

毎日の運動が寿命を延ばす!科学が証明した長生きの秘訣

私が日々の診療でよく受ける質問の一つに「健康寿命を延ばすにはどうしたらよいか?」というものがあります。その際、私はこうアドバイスしています。「膝の痛みや息切れなどがなければ、まずは1日30分を目標に歩いてみてください。健康寿命を延ばすには、これ以上の手段はないと思います」と。

運動が健康に与える影響については、世界中の研究で繰り返し証明されています。

これは、週に90分程度の散歩や軽いジョギングでも十分な効果があるということです。運動によって心臓や血管の機能が改善され、がんや糖尿病などの生活習慣病の予防にもつながります。

さらに運動は、脳の健康やメンタル面にも良い影響を与えます。有酸素運動を週に数回行っている高齢者では、記憶を司る「海馬」の体積が維持または増加するという研究があります3)。

実際、軽度のうつ状態に対しては、運動が薬物療法と同等の効果を持つことが報告されています。うつ状態でなくとも、軽い運動で気分が明るくなることは日常でも実感できるはずです。


参考文献

1)Wen CP, et al. Minimum amount of physical activity for reduced mortality and extended life expectancy: a prospective cohort study. Lancet. 2011;378(9798):1244–53.
URL: https://doi.org/10.1016/S0140-6736(11)60749-6

2)Ekelund U, et al. Does physical activity attenuate, or even eliminate, the detrimental association of sitting time with mortality? A harmonised meta-analysis of data from more than 1 million men and women. Lancet. 2016;388(10051):1302–10.
URL: https://doi.org/10.1016/S0140-6736(16)30370-1

3)Laurin D, et al. Physical activity and risk of cognitive impairment and dementia in elderly persons. Arch Neurol. 2001;58(3):498–504.
URL: https://doi.org/10.1001/archneur.58.3.498