すでに約50年前の1979年、ACS(米国がん協会)による「がん予防研究 I」のデータに基づく報告は、過体重が全死因、心疾患、糖尿病、いくつかのがんの死亡リスクを高めることを明確に示しました。
2000年以降、IARC(国際がん研究機関)の専門家パネルにより、肥満が以下の多くのがん(閉経後の乳がん、子宮内膜がん、腎臓がん、食道腺がん、大腸がん、直腸がん、胃の噴門部がん、肝臓がん、胆のうがん、膵臓がん、卵巣がん、甲状腺がん、多発性骨髄腫、髄膜腫、前立腺がん、口腔、咽頭、喉頭のがん)の原因となる可能性があることを報告しています。
1995年から2014年の間に行われた最近の研究では、肥満関連がん(大腸、子宮体部、胆のう、腎臓、多発性骨髄腫、膵臓)が増加傾向にあり、特に若年層において顕著だったことが示されています。これは、今後若年層が年齢を経るにつれて、肥満関連がんがさらに増加する可能性があることを示唆しています。1)
**BMI(体格指数)**が一般的に使われており、これは体重(kg)を身長(m)の二乗で割った値で、成人における体脂肪の指標として比較的よく相関します。年齢が上がると多少相関が弱まる傾向があります。
WHOの基準では、BMIが30.0以上は肥満とされていますが日本人の基準ではBMI25以上が肥満とされてえいます。
日本人の肥満の割合は平成25年から令和1年にかけて増加傾向であると報告されています。2)
年齢を重ねるにつれて減量は困難となる傾向がありますが、食物繊維を多く含む食品を多く摂ること、できるだけ加工食品の摂取を控えるなどできる範囲で少しづつ努力することはがん予防の観点から非常に重要です。
参考文献
1.米国がん協会(ACS)2020年 がん予防に関するガイドラインhttps://acsjournals.onlinelibrary.wiley.com/doi/full/10.3322/caac.21591
2.令和5年「国民健康・栄養調査」の結果 厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_45540.html?utm_source=chatgpt.com