
引き続き、がん予防で最近注目「運動習慣」のお話です。で定期的な運動ががんの発症リスクをどれほど下げるのかを具体的ご紹介します。
アメリカ国立がん研究所などの研究によれば、定期的な運動は複数のがんのリスクを下げることが分かっています。
たとえば2016年に発表された大規模な統合研究では、1週間に中程度の運動を150分以上行う人は、13種類のがんのうち少なくとも10種類において、がんの発症リスクが平均20〜30%低下するという結果が報告されています1)。
中程度の運動とは具体的には早歩き程度から軽いジョギング程度、決して「息の上がらない」ペースのことを指します。普通の会話ができるレベルと考えてもらってもいいと思います。
さらに、2022年の研究では、がんの発症予防だけでなく、がんを経験した後の再発防止や生存率の向上にも運動が役立つことが示唆されています。特に乳がんでは、術後の運動継続が再発リスクを約30%低下させるという報告もあります2)。
じつはこの効果は乳がんの場合、術後の再発予防目的の抗がん剤の効果に匹敵する効果なのです。運動は抗がん剤のように副作用もなく高額な費用もかかりません。
定期的な運動はがん予防にとって非常に有効であり、特別なトレーニングでなくても、日々の散歩や階段の昇り降りでも効果があります。がん予防のためにも、毎日の中で少しでも体を動かす習慣を取り入れてください。
引用文献
1)Moore SC, Lee I-M, Weiderpass E, et al. Association of Leisure-Time Physical Activity With Risk of 26 Types of Cancer in 1.44 Million Adults. JAMA Intern Med. 2016;176(6):816–825. doi:10.1001/jamainternmed.2016.1548
https://jamanetwork.com/journals/jamainternalmedicine/fullarticle/2521826
2)Effect of Post‑diagnosis Physical Activity on Breast Cancer Recurrence: a Systematic Review and Meta‑analysis (Miyamoto T. et al., 2022)
https://link.springer.com/article/10.1007/s11912-022-01287-z